腰痛は多くの方の悩みであり、様々な対処法があります。
ご自身でのセルフケアをはじめ、マッサージや電気療法、鍼灸など様々な治療法が存在します。
しかし、中には何を試しても腰痛が解消しないという方もいると思います。
そういった方は、もしかしたら骨盤のゆがみが残っている可能性があります。
本記事では骨盤のゆがみから起こる腰痛について、原因や対処法をご紹介していきます。
Contents
腰痛とは
はじめに、腰痛について簡単に解説します。
腰痛とは腰に痛みを感じる状態のことを言いますが、その症状は様々です。
ギックリ腰のような急な強い痛みが特徴の腰痛、長期間痛みが継続する慢性腰痛、しびれを伴う腰痛などがあります。
腰痛には特異的腰痛と非特異的腰痛の2種類に分けられます。
レントゲン検査やMRI検査、CT検査などを行うことで原因を特定することができる特異的腰痛は、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などが多くみられます。
検査を行っても異常が特にみられず、原因が特定できない腰痛を非特異的腰痛といいます。腰痛の8割以上は非特異的腰痛とされています。
骨盤のゆがみから起こる腰痛も非特異的腰痛となります。
骨盤とは
骨盤のゆがみについてお話しする前に、骨盤について解説します。
骨盤は人間のほぼ中心にあり、左右の寛骨、仙骨、尾骨の3つの骨の集合体です。
体を動かすほとんどの動きに関係するため、特に重要な骨とされています。
骨盤には大きくわけて3つの役割があるとされています。
体を支える支持機能、体を動かす際の運動機能サポート、内臓の保護の3つです。
体の支持
骨盤は上半身と下半身の中心に位置し、姿勢を支持する役割を果たします。
立っている時も座っている時も、坐骨と呼ばれる骨盤の底に位置する部分が支点となります。
そのため、骨盤がゆがんでしまうと体の支点にズレが生じ、負担が偏ることで肩こりや腰痛の原因となってしまうのです。
運動機能のサポート
骨盤の周りには20近い筋肉があり、体を動かす際には自身の体重をうまく支えられるよう、それらの筋肉が調整やサポートを行います。
また、歩く、走るなどの動作で生まれる衝撃を吸収する緩衝材の役割も担っています。
そのため、骨盤がゆがむと緩衝材の機能が低下し、腰痛や背中の不調が出やすくなってしまいます。
内臓の保護
骨盤の内側には内臓や生殖器などの重要な臓器が納められています。
それらの臓器を守るという役割も骨盤は担っているのです。
骨盤がゆがむと、偏った体が臓器を圧迫し、内臓への負担が増えてしまいます。
内臓への負担が増してしまうと、腰痛を引き起こす原因となります。
骨盤のゆがみとは
まず、整形外科などでは「ゆがみ」という表現は使われません。
骨の「変形」や「配列の不整」と表現されています。
骨折後に骨の形が変わる事を「変形」と呼び、出産後に恥骨が開いてしまうなど、骨の結合にズレが生じた事を「配列の不整」と呼びます。
整形外科などはレントゲンやMRIなどの検査で体の異常を判断します。
しかし、多くの場合は、骨盤のゆがみを画像などの検査から認めることはほとんどありません。
そもそも骨盤のゆがみは、「変形」などのように骨自体が歪んだりしたりしているわけではありません。
前後左右の骨盤の位置や傾きなど、骨盤全体が正常な位置と比べてどう変化しているかで判断します。
それは、骨盤だけをみる画像検査では判断が難しく、全体のバランスやゆがみも一緒に診ていくことが判断する上で重要となります。
ゆがみ自体は数ミリ~数センチですが、その僅かなゆがみが体の負担を増長し、肩こりや腰痛など様々な症状を引き起こしてしまいます。
また、骨盤のゆがみは4種類に分けられ、症状も変わりますのでご紹介していきます。
骨盤のゆがみの種類
骨盤のゆがみは4種類に分けられます。
- 前傾のゆがみ
- 後傾のゆがみ
- 左右の傾き
- 左右の捻じれ
それぞれ、異なるゆがみ方をし、現れる症状も異なります。
前傾のゆがみ
前傾のゆがみとは、骨盤が正常位置よりも前に傾いている状態です。
背中が丸くなるわけではないので、比較的良い姿勢に見えることもありますが、立っている時にお腹が前に出てしまう反り腰になりやすいのが特徴です。
また、内股が強くなり、膝もX脚が強くなる傾向にあります。
後傾のゆがみ
後傾のゆがみは前傾と逆で、骨盤が後ろに傾いている状態です。
骨盤が後傾すると、背骨のS字カーブが伸びてしまい猫背になりやすいのが特徴です。
また、立っている時より、座っている時に姿勢が猫背になりやすく、がに股やO脚が強くなる傾向にあります。
左右で捻じれるゆがみ
骨盤が左右に捻じれてしまうゆがみは前後傾とは異なり、左右で骨盤の位置がズレます。
正座をした時に膝の位置がズレている、肩の位置が左右で前後にズレているなどの変化が現れるのが特徴です。
左右に傾くゆがみ
左右どちらかに傾いてしまうゆがみは、体全体が骨盤に合わせて傾いてしまいます。
ベルトラインで左右の高さが違う、肩の高さが左右で違うなどの変化が特徴です。
骨盤のゆがみが起こる原因
骨盤のゆがみが起こる原因は、骨盤についている筋肉です。
基本的に人間は骨が勝手に動くことはありません。
硬くなった筋肉に左右差や部分的な硬さがあると、偏った方向へ引っ張ってしまい、骨盤のゆがみが引き起こされます。
では、それら筋肉の硬さはどのような原因で引き起こされるのでしょうか。
日常生活の癖
最も多い原因は、日常生活での悪い癖です。
- 足を組む
- 片方の足に体重をかけて立つ
- いつも同じ方の腕で荷物を持つ
- 姿勢が悪い(猫背、反り腰など)
上記のような、バランスが崩れた姿勢や習慣が偏った筋肉の硬さを引き起こします。
運動不足
運動不足になると筋肉が硬くなり、関節の動きが悪くなります。
偏った動きを続けていると、筋肉の硬さも左右差などが強くなり、骨盤のゆがみに繋がっていきます。
ケガ
骨盤のゆがみはスポーツや事故によるケガでも引き起こされます。
特に下半身のケガには注意が必要です。
膝やモモ、足首などにケガをしてしまうとかばった歩き方などになってしまいます。
正しい歩き方ができず、生活を続けていると骨盤がゆがんでしまうことがあります。
スポーツや仕事
スポーツや仕事では、同じ動きを繰り返し行う作業があります。
例えば、野球やテニス、卓球など同じ動きを繰り返し行うスポーツでも骨盤のゆがみが引き起こされます。
また、デスクワークや運転が多い仕事でも長時間続くと同様に骨盤のゆがみに繋がります。
骨盤のゆがみが引き起こす腰痛の種類
骨盤のゆがみは腰痛を引き起こす大きな原因となります。
また、ゆがみの種類によって症状の出方も変わります。
前傾タイプの腰痛
前傾のゆがみが強くなると、長時間立っている、椅子から立ち上がる際に痛みを感じやすくなります。
腰椎脊柱管狭窄症を患っている方は、症状が悪化しやすくなります。
後傾タイプの腰痛
後傾のゆがみが強くなると、長時間座っている、前かがみになる際に痛みを感じやすくなります。
腰椎椎間板ヘルニアを患っている方は、症状が悪化しやすくなります。
左右捻じれタイプの腰痛
左右に捻じれるゆがみが強くなると、腰よりも下のお尻の部分に痛みがでやすくなります。
仙腸関節と呼ばれる骨盤の関節が動きづらくなることで、負担がかかり痛みを感じやすくなります。
坐骨神経痛などの神経症状が左右どちらかに出やすくなります。
左右傾きタイプの腰痛
左右に傾くゆがみが強くなると、左右の傾いている方へ負担が増えるため、片側に痛みがでやすくなります。
こちらも神経症状が左右どちらかに出やすくなります。
骨盤のゆがみからくる腰痛の対処法
骨盤のゆがみで起こる腰痛は、多くの場合が非特異性腰痛と呼ばれる、検査で原因が特定できない腰痛です。
痛みの強さにもよりますが、ある程度の痛みであればご自身のケアで腰痛を軽減することが可能です。
基本的な腰痛の対処法はこちらの記事で紹介しております。
【腰痛の対処法の記事はこちら】
骨盤のゆがみの予防法
骨盤のゆがみからくる腰痛をいくら改善しても、骨盤のゆがみを予防しなければ意味がありません。
ご自身で行える予防法をご紹介します。
ストレッチ
骨盤のゆがみは筋肉の硬さが主な原因となります。
筋肉は生活をしていくうえで、多少なりとも疲労が溜まり硬くなります。
それらの硬さを軽減するにはストレッチが効果的です。
特にお尻と、モモ裏など股関節の周りを中心にストレッチを行う事で、ゆがみの原因となる筋肉へアプローチができます。
日常生活の見直し
日常生活の見直しも重要です。
いくら筋肉をストレッチで緩めても、生活の中で悪い行動をとっていると筋肉の硬さを誘発してしまいます。
具体的には下記の点に注意しましょう。
- 足を組む、横座りを長時間行う
- 猫背など、悪い姿勢で長時間過ごす
- デスクワークなど、長時間同じ姿勢で動かない
- 運動不足
骨盤のゆがみセルフチェック
骨盤のゆがみは自覚しないうちに生じていることがほとんどです。
まずは骨盤のゆがみをご自身でチェックしてみましょう。
チェック項目は以下の通りです。
- 座った際の姿勢
- 足の上がる高さ
- ベルトラインの高さ
- 横座りの左右差
- 仰向け時のつま先の向き
- 正座の膝の位置
1つずつ説明していきます。
① 椅子などに座ると姿勢が猫背になる
椅子に座って楽にした際に、自然と背中が猫背になってしまう方は骨盤の後傾が疑われます。
意識して姿勢を正して、背中が張って痛くなるような場合は骨盤の後傾に加え、股関節周りの筋緊張が特に強くなっている可能性があります。
② 足の上がる高さ
仰向けになり、膝を伸ばした状態で足を上げます。
左右で上がりに差が出ている方は骨盤の左右の捻じれ、もしくは傾きの疑いがあります。
人間には利き足があるので、多少の差はあるかと思います。
あまりに大きな差がある場合は、骨盤のゆがみが出ている可能性が高いです。
③ ベルトラインの高さ
腰のベルトラインが水平になっているか、鏡などを見て確認してみましょう。
左右の高さに差が出ている場合は、骨盤の左右の傾きが疑われます。
④ 横座りの左右差
床などに横座り(両足を片側に投げ出す座り方)を左右行ってみてください。
左右でどちらかに違和感や座りづらさを感じた場合、骨盤の左右の捻じれが疑われます。
普段から横座りを行っている方は、確認してみて下さい。
⑤ 仰向け時のつま先の向き
仰向けで寝た際に、左右のつま先が対象になっていない場合は骨盤の捻じれが疑われます。
股関節周りの筋肉の硬さでも同様の現象が起こりますので、必ずしも骨盤のゆがみが原因となるわけではありません。
⑥ 正座をした際の膝の位置
正座をした際、膝の位置が同じになっているかを確認しましょう。
もし片側が前に出ているなど、ズレが出ている場合、骨盤の左右の捻じれが疑われます。
また、両足のつま先が自然と重なってしまう場合もゆがみが疑われます。
ほっと鍼灸接骨院の腰痛施術
ほっと鍼灸接骨院では、骨盤のゆがみで起こる腰痛に対して、整体を中心に施術を行います。当院独自の骨盤調整で骨盤の歪みを整え、固まった筋肉に対しては整体マッサージで緩めます。
ほっと鍼灸接骨院の腰痛施術例
CASE1:デスクワークによる腰痛
症状 | デスクワークでの腰痛 |
年齢 | 40歳 |
性別 | 男性 |
経過 | デスクワークが多いため、骨盤の後傾が強く出ていた。股関節の筋肉を緩めて、ゆがみを改善させていくと、腰痛の軽減がみられた。 |
治療内容 | 骨盤整体、ハイボルテージ療法 |
CASE2:デスクワークによる腰痛
症状 | 肩こり、腰痛、産後の骨盤のゆがみ |
年齢 | 33歳 |
性別 | 女性 |
経過 | 産後の骨盤のゆがみだけではなく、日常生活でのゆがみも出ている状態でした。 整体で骨盤のゆがみを整え、鍼灸で硬い筋肉へアプローチしました。施術後は症状の改善がみられた。 |
治療内容 | 骨盤整体、鍼灸 |
まとめ
骨盤のゆがみの原因は日常生活での悪い癖やケガの影響、スポーツや仕事での偏った動きなどで生じます。
前傾、後傾、左右の捻じれ、左右の傾きの4つに分けられ、それぞれ腰痛の部位や症状に違いがあります。
前傾は立っている状態、後傾は座っている状態で痛みを感じやすくなります。
左右の捻じれが出ている場合、腰よりも下の仙腸関節と呼ばれる部分に痛みを感じやすい。
左右の傾きが出ている場合、左右どちらかに痛みを感じやすくなります。
骨盤のゆがみを予防するにはストレッチで筋肉を柔らかくし、日常生活の見直しを行う必要があります。
骨盤のゆがみはご自身でセルフチェックすることが可能ですが、ゆがみを解消することはなかなか難しい場合もあります。
腰痛がなかなか改善しない場合は、専門の機関を受診し、適切な治療法を受けることが重要です。